先週、図書館で江國香織さんの『薔薇の木枇杷の木檸檬の木』を借りて読みました。
この小説、初めてではなく、ずっと前(独身の頃)に一度読んだことがある小説です。
とはいっても、「ストーリーがよかったから、もう一度読んでみたい」と手が伸びたのではなく、ただそのタイトルと装丁に惹かれたので借りて帰り、家でページを開いてから、「あ、私、これ読んだことあったっけ」と気づいた、という次第。
きっとこう感じるのは私だけではないと思うのだけれど、江國香織さんの小説のタイトルはどれもとても素敵で、そして少し切ない気がします。
『つめたいよるに』 『きらきらひかる』 『号泣する準備はできていた』 『落下する夕方』 『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』 『すいかの匂い』 『泣かない子ども』・・・。
いちばんメジャーなのは、 『冷静と情熱のあいだ―Rosso』でしょうか。
以前、雑誌で江國さんの写真を見たことがあるのですが、ふわりとした、透明感のある表情が、小説から知っていた江國さんの雰囲気にぴったりだと感じた覚えがあります。
話を戻して、『薔薇の木枇杷の木檸檬の木』。
この小説は9人の女たちが入れ替わり立ち代り舞台に立ってストーリーを織り成していく物語です。花屋のオーナー、雑誌編集者、モデル、主婦、アルバイト、会社員…個性的な9人がそれぞれに恋したりされたり、結婚したり離婚したり、浮気したりされたり、妊娠したりしなかったりする話。それぞれの女たちは接点があったり、なかったり、あるいは接点があるのに当人がそれに気づいていなかったり、という微妙な関係です。
傍目には単調に見える他人(友人)の生活にも、本人にしかわからない喜びや切なさや寂しさがあって、それは「しあわせ」とか「不幸」とか一言で言い表わせるようなものではないのだけれど、そういういろいろなものを誰しも抱え込んで生きている・・・。陳腐かもしれないけれど、私がこの小説を読んで感じたことを言葉にしようとすると、こうなります。
もちろん、「誰の人生にもドラマがある」なんて、当然といえば当然のことなんですが、
この小説は、「他人のドラマを垣間見てしまう」ような小説なんですよね。
ともすれば、「とりとめがない」、「だから何なの?」と言いたくなるストーリーではあるのだけれど。「感動した」とか、「いい話だった!」とかいえる小説ではないのだけれど。
それでも、どうしてだか、私の心の”オンナ”の部分にさわさわと触れる物語でした。
(もちろん、好みはあると思うので、まったくそう感じない人もいると思いますが。)
ずっと昔に読んだときは、こんなふうに感じなかったのにな。結婚して、母親になって、私も感じ方が変わったのかな。優れた小説は「多層的」であるというけれど、年をとって読み返したとき、昔と違う感じ方のできる小説は、やはり魅力的な小説だと思います。
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CommentData » Posted by 管理人ayan at 07/10/12
★ 萬福さん
萬福さんも江國さんの小説がお好きなんですね~^^ (仲間♪)
> 言葉の選び方や言い回しのせいか、独特の空気がありますよね!
はい、すっごくそう思います!!
あの空気感・世界観は、江國さんにしか創り出せないものなんだろうなぁと感じます。
> 江國さんの小説を読むと、一人でお酒を飲みたくなるのは私だけでしょうか?(笑)
私はあまり飲みませんが、萬福さんがそう思うのはなんとなくわかりますよ。^^
(ちょっと違うけど、山田詠美の小説もお酒が飲みたくなる雰囲気がありませんか?)
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"『薔薇の木枇杷の木檸檬の木』"へのコメント
CommentData » Posted by 萬福 at 07/10/11
私も江國さんの小説は大好きです♪
言葉の選び方や言い回しのせいか、独特の空気がありますよね!
薔薇の木・・・は、9人の女性の中で必ず一人くらいは、その時の自分と重なる人がいるので自分を客観的に見れる気がして、何度も読んでしまいます。
読み終わった後は、自分の生き方についてちょっと考えてしまったり。
江國さんの小説を読むと、一人でお酒を飲みたくなるのは私だけでしょうか?(笑)