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現在NHK大河ファンタジーでも放映中の『精霊の守り人』シリーズや、アニメ化もされた『獣の奏者』など人気ファンタジー小説の作者として知られる、上橋菜穂子さんの旅エッセイ集『明日は、いずこの空の下』(文庫)を購入しました。
独身時代はバックパッカー(アジア、オーストラリア)の経験もあり、現在も旅ライター・ブロガーとして活動中の旅好きの私。『深夜特急』や『雨天炎天』などの旅エッセイや紀行文は、夢中になって読んだものです。
『明日は、いずこの空の下』は旅エッセイ集なので、電車や飛行機の中など旅の途中で読みたいなと思ってたんですが、昨日の夜に何気なく手にとり、一篇だけ…と思って読み始めたら、止まらなくなり、五篇くらい一気に読んでしまいました。
年月や距離をものともしない、その瞬間の空気感や音、匂いまで浮かび上がってくるような情景描写に胸がどきどきして、海外文学(特にファンタジー)に夢中になった少女時代を思い出して、あぁ、なんだかもう、たまらない気持ち。
上橋さんが『グリーン・ノウの子どもたち』の舞台になったイギリスのマナーハウスを訪ねたときに、古い館の壁に刻まれたルーン文字を見て、数百年前にその壁の前に立った人が確かにそこにいたのを感じた、と書いているのを見て、ハッとしました。
というのも、私も中学生のときに修学旅行で京都奈良へ行き、古い寺社の柱などを見て、数百年前にこの柱にもたれて立っていた人がいたのかもなぁ…と、考えて静かに興奮していたことを、いまでも覚えているから。
(うまく書けないんですが、数百年前に生きた人が触ったかもしれない物質が目の前に存在し、触れることができるというのが、すごーく特別なことに感じたのです。)
実は、この『明日は、いずこの空の下』、数年前にハードカバーで書店に並んでいる表紙を見て気になったのですが、「ちょっと高いし、まぁいいか」と買わなかったんですよね。
高いと言っても2,000円もしないんですが、「文庫発売(2017年12月)を待たず、あのとき手に取って買っていれば、この素敵な文章にもっと早くであえていたのに」と、過去の自分を小突きたくなりました。
(文庫本の発売を待っていたのではなく、実際は忘れていました。でも、Twitterでたまたま本のタイトルを目にして、記憶がさぁっとよみがえってきたのです。)
一気に読んでしまうのが惜しくて、大切に一篇ずつ味わいたくて、まだ全部は読んでいないんですが、上橋さんのファンタジー作品が好きな方、『指輪物語』や『ナルニア』が好きな方、旅エッセイが好きな方、どうしようもなく海外に憧れた十代を過ごした方、そしてもちろん、旅することが好きな方におすすめです。
(本の感想レビューって、読了してから書くのが基本だと思うのですが、まだ途中なのに胸がどきどきして、おすすめレビューを書かずにいられませんでした。)
あと、情景描写の表現の奥行きがすばらしく、豊かな語彙で細部の描写をすることで感情を掬い上げる文章が多いので、旅ブログなどを書いている方も勉強になるんじゃないかな、と思います。文庫本で626円と安いので、ぜひ。
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