世界観をどっぷり楽しめるファンタジー小説 上橋菜穂子「鹿の王(上下)」

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上橋菜穂子「鹿の王(上・下)」

久しぶりに、物語の世界にどっぷり入り込んで楽しめるファンタジー小説を読みました。
「獣の奏者」や「精霊の守り人」などの守り人シリーズの作者として有名な上橋菜穂子さんの最新小説、「「鹿の王(上下)」です。
「王様のブランチ」で紹介されたそうなので、ご覧になった方もいるかもしれませんが、2014年国際アンデルセン賞<作家賞>受賞第一作となっている話題作です。

上橋菜穂子さんは、児童文学作家・ファンタジー作家でありながら、文化人類学者でもある女性。ファンタジー小説というと、子ども向けの絵空ごと、おとぎ話のように考える方もいるかもしれませんが、上橋さんの描き出す世界は、決して薄っぺらではなく、しっかりとそこに存在しているかのようなリアリティのある世界なのです。小説であると知りながらも、どこかに物語の中に出てくる国が存在し、氏族が存在するかのような錯覚を覚えるほど。

私が上橋さんの小説を好きなのは、どの小説も独自の世界がほぼ完ぺきに構築されていて、登場人物も単純に「善い者・悪い者」がいるのではなく、それぞれに立場や思いがあるからです。人間の日々の営みを丁寧に描いているところも読んでいて楽しいです。
その世界にしか存在しない生き物、植物、食べ物なども、想像力を刺激されます。

「鹿の王」では、二人の主人公(と言ってよいのかわかりませんが)が交互に登場し、その二つの物語がある地点で交錯する・・・という構成。登場人物の数が多いので、巻頭の登場人物リストを何度も見返しながら読み進めました。

強大な帝国・東乎瑠にのまれていく故郷を守るため、絶望的な戦いを繰り広げた戦士団“独角”。その頭であったヴァンは奴隷に落とされ、岩塩鉱に囚われていた。
ある夜、一群れの不思議な犬たちが岩塩鉱を襲い、謎の病が発生する。その隙に逃げ出したヴァンは幼子を拾い、ユナと名付け、育てるが―!?
厳しい世界の中で未曾有の危機に立ち向かう、父と子の物語が、いまはじまる―。

(「鹿の王 (上) ‐‐生き残った者‐‐」内容紹介より引用)

不思議な犬たちと出会ってから、その身に異変が起きていたヴァン。何者かに攫われたユナを追うヴァンは、謎の病の背後にいた思いがけない存在と向き合うことになる。
同じ頃、移住民だけが罹ると噂される病が広がる王幡領では、医術師ホッサルが懸命に、その治療法を探していた。ヴァンとホッサル。ふたりの男たちが、愛する人々を守るため、この地に生きる人々を救うために選んだ道は―!?

(「鹿の王 (下) ‐‐還って行く者‐‐」内容紹介より引用)

「鹿の王」のテーマは、「命」と「病(細菌、感染症、免疫など)」
とてつもなく深いテーマで、軽々しく何かを言うことはできないのですが、すごく引き込まれ、夢中になってページをめくっていました。Amazonの購入者レビューで、「上巻を読み終えるとすぐに下巻を読みたくなるから、まとめて買うのがおすすめ」と書かれていたのですが、本当に上下巻セットで買って良かったと思っています。
(でなければ、深夜まで開いている書店を探すことになっていたかも。)

読書好きな小学校高学年か、中学生くらいから読める内容だと思いますが、決して子ども向けの物語ではなく、大人も楽しめる深みのある物語です。
鹿の王 特設サイトにて、あらすじ・プロモーションビデオを閲覧できますよ!

読書の秋。日常から離れて、物語の世界にどっぷり浸りたい方におすすめの小説です。

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