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チェコのボヘミア地方東部、パルドゥビツェ州にある町リトミシュル(Litomyšl)。
その歴史は古く、12世紀にボヘミアとモラビアをつなぐ街道にプレモントレ修道院が創設され、その周囲に集落が増えて、今日のリトミシュルの街となったそうです。
リトミシュルは人口1万ほどの小さな町ではありますが、ユネスコの世界遺産にも登録されているルネサンス様式のリトミシュル城や、世界的に有名な作曲家ベドジフ・スメタナの生まれた家があることで知られています。
もくじ
ユネスコ世界遺産 リトミシュル城 外観
リトミシュル城は、1568年から14年の歳月をかけて建設されたルネサンス様式のお城。1999年にユネスコの世界遺産に登録されています。
イタリア人建築家のG.B.アオスタリによって設計されたリトミシュル城は、柱廊で囲まれた中庭、ズグラッフィート装飾の外壁、切妻などが特徴的な城です。
ズグラッフィートというのは、お城の外壁全体に施されているこの模様のこと。黒い漆喰の上に白い漆喰を塗り、模様を削り出す技法で作られています。
リトミシュル城のズグラッフィートは全部で8,000枚もあるそうですが、ひとつとして同じ模様はないと言います。
見た目が封筒に似ていることから「Letters(レターズ)」とも呼ばれているとか。
リトミシュル城の外壁は、すべてが作られたときのままの姿ではありません。このレターズも同様で、よく見ると新しいものと古いものが混在しているのがわかります。
一般的にヨーロッパの古いお城や宮殿などは、経年劣化や災害による破損があったとしても、できるかぎり元通りに修復しようとするものです。
しかし、リトミシュルでは、”More than historical”(モア・ザン・ヒストリカル=歴史的以上)をコンセプトに、古いものが壊れたら同じものを復元するのではなく、古いものを取り入れつつ、新しいものを作っていこうという考えを持つ人が多いそうです。
そのためにリトミシュルは現代建築の中心地とされ、毎年10月に行われる建築フェスティバルにはチェコ全土や外国からの建築を学ぶ学生が集まり、古いものと新しいものをつなぐ技法を学んでいるとのこと。
リトミシュル城の外観からも、古いものと新しいものが自然に融合している様子を感じることができます。
リトミシュル城の中庭
こちらが柱廊で囲まれた中庭。毎年6月末か7月初め頃、この中庭を会場に、リトミシュルゆかりの大作曲家ベドジフ・スメタナに敬意を表して「スメタナのリトミシュル」というオペラ・フェスティバルが開催されます。
ズグラッフィート装飾の壁に囲まれた、音響の素晴らしい中庭で行われるコンサートは、ここでしか楽しめない魅力的なイベントに違いありません。
上階から見下ろした中庭。
リトミシュル城の内部を見学
次は世界遺産リトミシュル城の中に入ります。最初に見せてもらったのは、お城の中にあるバロック劇場。
クラシシズム(classicism)というだまし絵のような様式で作られており、舞台の奥のほうに見える石柱も、実際に柱が置かれているわけではなく、絵なんです。
この劇場は、現在は使われていませんが、その昔、リトミシュルの貴族たちが、自分たちで劇を演じて楽しんでいたのだとか。ガイドさんの話では、専門の役者はおらず、自分たちで楽しむための劇だったので、ほとんどがコメディだったそうです。
娯楽の少ない時代、自分たちで劇を演じたり観たりするのは、貴族たちの大きな楽しみの一つだったのでしょうね。
続いて、リトミシュル城の中の各部屋を見せてもらいます。シャンデリアが豪華!
マリー・アントワネットの実母、マリア・テレジア。マリア・テレジアの肖像画はチェコを旅しているとあちこちで見かけます。
ちなみに、この絵のまわりの石造りに見える装飾も、ぜんぶ平面に描かれた絵です。
肖像画の飾られたこの部屋は、謁見のための待合室のようなところ。
どの部屋も豪華で、部屋から部屋へ歩いて移動するたびにため息と歓声がこぼれます。
こちらは男性たちがゲームをする部屋。
今まで見てきたほとんどの部屋の角にこういう形のものが置かれていたのですが、これ、実は暖炉なんです。
「暖炉なのに、薪をくべるところがない?」と不思議に思われるかもしれませんが、薪をくべる穴は裏側にあって、召使いが壁の裏側で火をつけるのだとか。その熱が室内に伝わる仕組みですが、今日では考えられない道具ですね。
こちらは召使いの部屋だそうで、豪華さはないものの可愛いお部屋です。
こちらの馬の絵がたくさん飾られた部屋は、このお城に招かれたゲストが乗ってきた馬をつないでおくための部屋。
「えっ、普通は乗ってきた馬は外につないでおくでしょ? だいたいどうやってお城の中に馬で入るのよ……。」と思ったのですが、すぐにその謎は解けました。
この「馬の間」の隣りには、外から貴族が馬に乗ったまま上がってこられる専用の階段が設置されていたのです! ボヘミア貴族の考えること、すごすぎます。
贅を凝らしたお城と広間、遊び心のある劇場やゲームの間、騎馬のまま上がってこられる階段など、その財力を周囲に対して見せることで、他者を威圧していたのでしょうか。
リトミシュル城地下のワインセラーとギャラリー
リトミシュル城の地下にはワインセラーがあり、たくさんのモラヴィアワインが貯蔵されています。石造りのお城の地下はひんやりとしており、ワインの保管に最適なのだとか。ワインの販売(ボトル&量り売り)もありました。
また、地下にはチェコの有名な彫刻家、オルブラム・ゾウベク(Olbram Zoubek)による多数の彫刻が常設展示されています。
ゾウベク氏は、プラハ出身で、現在91歳。共産主義時代は反政府主義者であったために作品作りを許されなかったそうですが、城の修復のためにリトミシュルに送られ、この地を気に入って定住することに決めたのだとか。
実はこの日の午前中に訪れたリトミシュルのガストロフェスにゾウベク氏がいたと聞いて驚きました。そんな有名人があのフェスにいたとは!
Thanksのキャンドルで作ったチェコのハート♥はリトミシュル城にある! #チェコへ行こう #visitCzech #heart #リトミシュル #チェコ #Czech #ハート https://t.co/IAEpVvKsbj pic.twitter.com/Xq811yTKeC
— UKOARA🐨 (@Yu_koara) 2017年5月20日
そして、キャンドルで作られたこんなオブジェも! 中に入って記念撮影ができますよ。(ご丁寧に、横に脚立が置いてありました。)
これは、ヴァーツラフ・ハベル初代共和国大統領が亡くなった際に国民が追悼の意を込めて道に灯したロウソクの燃え残りを、2人のアーティストが回収してハート形のオブジェにしたものなのだとか。
ベドジフ・スメタナの生家
リトミシュル城の向かい(城内のビール醸造所の中)には世界的に有名な作曲家ベドジフ・スメタナの生まれた家があります。
こちらがスメタナが生を受けた部屋。彼は幼少期までをこの館で過ごしたそうです。
今回私たちは見学のみでしたが、この建物のいくつかの部屋はホテルとして使われており、実際に宿泊することも可能。
リトミシュル城は、城そのものだけではなく、庭園や周囲の建物も含めて世界遺産に登録されているので、この建物に泊まるということは、世界遺産に泊まるということ。
世界遺産好きなら、一生に一度は体験してみたいものですね!
スメタナの生家に泊まる体験については、旅と写真とレビューのブログ「エアロプレイン」のチェコのリトミシュルでスメタナの生家かつ世界遺産の城に泊まる超体験の記事に詳しく書かれていますよ。
聖十字架発見教会
そして、リトミシュルのすぐ近くには聖十字架発見教会があります。
1714年~1727年にかけて、7年間という(当時としては)短い年月で建てられたバロック様式のこの教会は、今日に至るまで4回火災に遭い、そのためにリノベーションされてきたそうです。
かなり広くて内装も豪華な教会なので、現在はコンサートやアートギャラリー、そして結婚式場として使われているとのこと。
この聖十字架発見教会は自体は入場無料ですが、少額の料金を払うと螺旋階段を上って屋上にあがることができます。
屋上からはリトミシュル城やリトミシュルの街並みを一望できるので、時間があれば、上がってみることをおすすめします。(かなり段数ありますけどね。)
聖十字架発見教会の螺旋階段(100段以上!)を上って、てっぺんからの景色。一般の観光客もここまで上がってくることができます。(30コルナ)#visitCzech #チェコへ行こう #リトミシュル #Litomysl pic.twitter.com/A5csUQQV2M
— ayan (@warashibe) 2017年5月20日
以上、写真点数が多すぎて駆け足になってしまいましたが、チェコのユネスコ世界遺産・リトミシュル城とスメタナの生まれた家、そして聖十字架発見教会の紹介でした。
リトミシュルはオロモウツやブルノと近いので、合わせて行くのがおすすめです。
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