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クトナー・ホラ(Kutná Hora)は、プラハから東へ65kmほどの中央ボヘミアにある町です。小さな町ながら、ユネスコの世界遺産が点在する、中世の主要都市でもあり、かつてはプラハに次ぐほど繁栄をしていたのだとか。
クトナー・ホラは、13世紀後半に銀を豊富に産出する銀鉱脈が発見されてから急速に発展し、14世紀にはボヘミア王ヴァーツラフ2世により王立造幣局が設立され、王国通貨の製造を担っていました。
王立造幣局に使われていた建物はイタリアン・コートという名前で現在も残っており、そのほか、聖バルボラ教会、聖母マリア大聖堂、墓地教会(納骨礼拝堂)などの見どころ・観光スポットが点在しています。
クトナー・ホラの旧市街とセドレツ地区は、「聖バルボラ教会とセドレツの聖母マリア大聖堂のある歴史都市」として1995年にユネスコの世界遺産に登録されました。
プラハ本駅からクトナー・ホラ本駅へは電車が1日10~12便走っており、所要時間も50分程度とアクセスがよいので、プラハから日帰り観光に訪れるのにもぴったり。
この記事ではクトナー・ホラの見どころと観光スポットを紹介します。
もくじ
クトナーホラの見どころ・観光スポット
クトナー・ホラの見どころはセドレツ(Sedlec)地区とエリアと旧市街の2つのエリアに点在しています。セドレツ地区にあるのが「聖母マリア大聖堂」と「墓地教会(納骨礼拝堂)」で、旧市街にあるのが「イタリアン・コート」「聖バルボラ教会」などです。
今回はセドレツ地区⇒旧市街の順番で見どころを観光しました。実際にまわった順序で各スポットを紹介していきます。
クトナー・ホラの聖母マリア大聖堂
クトナー・ホラのセドレツという歴史的な地域にある聖母マリア大聖堂(Cathedral of the Assumption of Our Lady)は1282年~1320年にかけて建てられた教会です。回廊と礼拝堂を有する聖堂建築で、その時代から残っているものとしてはチェコ最大の教会とのこと。
17世紀末から18世紀初頭にかけて、チェコバロック随一の建築家、ヤン・ブラジェイ・スラティニによって、バロック・ゴシック様式に再建されました。
ペトル・ブランドルによる祭壇の絵画もとても有名です。
教会内のらせん階段もフォトジェニックでした。
教会はとても大きく、飾られている絵画や像は見ごたえがあります。また、屋根裏のような板張りの部分も歩くことができました。
聖母マリア大聖堂(Cathedral of the Assumption of Our Lady)
毎日開館、4月~10月は9時から17時まで、日曜日は11時から17時まで。11月~3月は10時から16時まで、日曜日は11時から16時まで。入館料は大人50コルナ。
墓地教会(納骨礼拝堂)
次に訪れたのが、聖母マリア大聖堂と同じくセドレツ地区にある墓地教会(納骨礼拝堂)(Cemetery Church of All Saints with Ossuary)です。
周りを墓に囲まれたこの礼拝堂は、14世紀末に建てられたもので、内部は見渡す限りの大量の人骨で装飾されています。
13世紀後半にセドレツの修道院長がエルサレムの聖墓から持ち帰ったひとにぎりの土をこの地にまいたことから、この教会は聖地とみなされるようになったそうです。
1511年には半盲の修道士により人骨がピラミッド型に積み上げられていたとのこと。教会を囲む堀をよく見ると、今なお人骨が露出しているのに驚きました。
教会の内部には壮大なシャンデリア、十字架、聖餐杯、聖体顕示台、シュヴァルツェンベルグ家の紋章などの骨を使った装飾があります。
見渡す限りの大量の骨は、聖地への埋葬を望む僧侶たちの骨だけでなく、フス戦争やペストによる多くの犠牲者たちの骨も含まれているそうです。
ガイドブックには推定4万人分の骨と記載されていますが、近年の調査で、骨の数は約6万人分であることがわかったとのこと。
人骨による装飾というと、ともすると不謹慎なように思えるかもしれませんが、この墓地教会はチェコの木彫師フランティシェク・リントによって刻まれた「メメント・モリ(死を思え)」という言葉に象徴される、人間の生のはかなさと不可避な死についての教えを示しているといいます。
観光客がたくさんいるのに、静かで、厳かな雰囲気の墓地教会(納骨礼拝堂)。写真で見るだけではなく、実際にその場に身を置いてこそ、感じられるものがあります。クトナー・ホラに行ったら、ぜひ足を運んでみてください。
墓地教会(納骨礼拝堂)(Cemetery Church of All Saints with Ossuary)
毎日開館、3月・10月は9時から17時まで、4月~9月は月~土が8時から18時、日曜日は9時から18時まで、11月~2月は10時から16時まで。入館料は大人90コルナ。
クトナー・ホラ旧市街のレストラン
その後は、セドレツ地区からクトナー・ホラの旧市街へ。石畳の旧市街の中心には、パラツキー広場という賑やかな広場があり、その周辺にレストランやショップがたくさんあります。
今回はその中の一つである、Staročeská restaurace V Ruthardceというレストランで昼食をいただきました。この日案内をしてくれた現地在住のガイドさん曰く、クトナー・ホラで一二を争う人気レストランなのだとか。
まずは、チェコで最も人気のあるハーブリキュール「ベヘロフカ(Becherovka)」をいただきました。(※ベヘロフカに関しては、チェコで人気のハーブリキュール「ベヘロフカ」を試飲しにヤン・ベヘル博物館へ行こう!の記事をご覧ください。)
店内にはビール樽があり、樽出しのピルスナー・ウルケルも飲むことができます。また、この日私は飲み損ねたのですが、クトナー・ホラには「ダチツキー」という有名な地ビールもあるそうです。
私は豚ひざ肉のロースト、同行者はスヴィーチュコヴァーとローストダックをいただきました。どれも代表的なチェコ料理です。豚ひざ肉はぷるぷるでとってもおいしかったです。(豚ひざ肉はフォークを突き刺した煮込みのほうが有名かも?)
店名 Staročeská restaurace V Ruthardce
住所 Dačického nám. 15/10, 284 01 Kutná Hora, Czech Republic
営業時間 月~木 12:00~23:00、金~土 12:00~1:00、日曜 12:00~23:00
公式サイト https://www.v-ruthardce.cz/
もう一つ、パラツキー広場の周辺で日本人におすすめなのが「ドブラー・チャイオブナ」というティールームです。異国情緒あふれる空間で、中国茶や日本茶を飲むことができ、ほっと落ち着けます。
私は昼間に看板を見かけて気になっていて、この日観光を終えてホテルにチェックインした後、再び足を運んでお店に入りました。このティールームについては、別サイトで詳しく書いているので、よければそちらをご覧ください。
詳細記事⇒ チェコ国内40店舗を展開する「ドブラー・チャイオブナ」は異国情緒あふれる空間でおいしいお茶が飲めるティールーム
チョコレートミュージアム&ショコラティエ
クトナー・ホラの旧市街で昼食の後に訪れたのは、チョコレートミュージアムです。ミュージアムといっても、公共のものではなく、とても小さな私設ミュージアム。
入り口を入ってすぐのところにチョコレートショップ、その奥に小さなミュージアム(博物館)があります。こちらでは、世界中から集めたカカオ豆をビーントゥバー(カカオ豆からチョコレートになるまでの行程を一貫して行うスタイル)で製造しています。
まずは店頭でチョコレート・テイスティング(試食)をさせてもらいました。お店は小さいものの、取り扱っているチョコはチョコで最高のものだそうです。
私が特に気に入ったのは、表面にカカオニブを散らしたホワイトチョコレート(パンダのパッケージ)とミルクチョコレート(キリンのパッケージ)。ほかにもカカオ99%チョコや、抹茶チョコなどもありました。
大量生産品ではないので板チョコ1枚100コルナ(500円ちょっと)と少し高めですが、すごくおいしかったので数枚お土産に買いました(カード払い可)。
試食の後は、店内奥のチョコレートミュージアムを見学。
歴史的なチョコレートのパッケージや缶などが展示されています。
また古箪笥のようなももの中にはチョコレートの型がずらり。チェコのチョコ文化を知る上で貴重なグッズがたくさん残されていました。チョコレート好きな方におすすめの観光スポット&お土産ショップです。
名称 Chocolate Museum & Chocolaterie
住所 Komenského náměstí 72/18 284 01 Kutná Hora, Czech Republic
毎日営業、10:00 – 12:00 / 13:00 – 17:00
公式サイト http://www.chocomuseum.cz/
イタリアン・コート
クトナー・ホラの旧市街中心部、パラツキー広場からすぐ近くにあるイタリアン・コート(Italian Court)は、歴代チェコ王の居城と王国の造幣局だった建物です。
この地では13世紀ころまで何種類もの硬貨が混在して使わていましたが、イタリアのフィレンツェから招かれた専門家が改革を進め、プラハ・グロシュ銀貨の鋳造に一本化されたそうです。そのため、王国の造幣局だったこの建物には「イタリアン・コート」という名前が付きました。
私は時間が合わず見ることができませんでしたが、当時のコスチュームを着た鋳造人が行う鋳造の実演(coin-minting show)を見ることもできるそうです。また、予約制のガイドツアー(所要時間約40分)もあるとのこと。
館内では、国王が滞在した部屋や会議室、聖ヴァーツラフを祀った礼拝堂などを見学できます。煌めくシャンデリアや豪華な壁画に彩られた会議室は一見の価値あり。
なぜか会議室の外にゆりかごのようなものがあり、会議に参加した人が赤ちゃんを連れてきたのかしら?などと想像してしまいました。
スタッフによる鋳造の実演は見られなかったのですが、実際に鋳造を体験できるコーナーがあったので、鋳造体験をさせてもらいました。
要するに、金属製の筒の中に入れた金属片を重い槌で叩いて文様をつけるわけですが、これがなかなか難しかったです。一度でキメないと文様がブレてしまって……。槌は重いし、ミスをすると指がつぶれそうで、当時の王国の鋳造人は大変な労働だったのだろうなと思います。
イタリアン・コート(Italina Court)
住所 Havlíčkovo nám. 552, 284 01 Kutná Hora, Czech Republic
開館時間 年中無休、3月・10月は10時~17時、4月~9月は9時~18時、11月~2月は10時~16時で、入館は閉館時刻の30分前まで。入館料は大人105コルナ。
公式サイト http://pskh.cz/en/italian-court/
聖バルボラ教会
クトナー・ホラで最後に訪れたのが、ユネスコの世界遺産に登録されている聖バルボラ教会(St. Barbara’s Church)です。日本語のガイドブックによっては「聖バルバラ教会」と書かれているものもあります。
聖バルボラ教会はゴシック様式の後期絶頂期の傑作と言われる建物のひとつで、建設は1388年に始まりました。名前になっている聖バルボラ(聖バルバラ)は鉱員の守護聖人であり、建築資金のほとんどがカトリック教会ではなく、市民たち自身によって調達されたと言われています。
1680年~1710年に作られたというバロック式の祭壇は、目を見張る重厚さです。
クトナー・ホラ聖バルバラ教会の礼拝堂では、15世紀後期のフレスコ画や、モザイクではなくガラスが色塗りされた彩色窓を見ることができます。17世紀ころの民族衣装を身にまといランタンを掲げた鉱員の像などもありました。
とても大きく、建物それ自体も、内部の展示品も見ごたえのある聖バルボラ教会は、クトナー・ホラ観光で欠かすことのできない見どころと言えるでしょう。ぜひ時間をとってゆっくりと見学してみてください。
聖バルボラ教会(St. Barbara’s Church)
毎日開館、1月・2月は10時~16時、3月は10時~17時、4月~10月は9時~18時、11月・12月は10時~17時。入館料は大人85コルナ。
まとめ
以上、クトナー・ホラの見どころと観光スポットのまとめでした。クトナー・ホラは1961年には都市遺産の指定を受け、1995年には中部ボヘミア地方としては唯一のユネスコの世界遺産となった町です。
見どころ・観光スポットがまとまっており、プラハからも電車で1時間弱とアクセスがよいので、ぜひチェコを訪れたらクトナー・ホラに足を運んでみてください。