チェコ南東部にある建物がどれも同じような外観の独特な町・ズリーン(Zlin)の見どころは?

チェコ南東部にある建物がどれも同じような外観の独特な町・ズリーン(Zlin)の見どころは?

公開日: : 最終更新日:2018/09/30 チェコ旅行2018

ブジェツラフ駅で自転車を借りてサイクリングを楽しんだ後、ほかのブロガーさんと別れて、チェコ南東部ズリーン(Zlin)まで約1時間半かけて電車で移動しました。

チェコ南東部 ズリーン Zlin

ズリーンに着いたのは夕方だったため、その日はホテルで休み、翌日朝からズリーンの観光へ出かけることに。(ホテル記事はこちら

ズリーン(Zlin)ってどんな町?

チェコ南東部ズリーン(Zlin)

プラハの南東300kmにあるズリーン(Zlin)は、トーマシュ・バチャ(Tomáš Baťa)という靴職人が作った会社とともに大きく発展した町です。バチャは第一次世界大戦後に靴会社を大成功させ、たくさんの人たちに仕事と住居を提供しました。

綿密な計画に従って、アパート・労働者居住区・公共施設・高層ビルにいたるまで、倹約と合理化と機能化の理念に基づいて建てられているため、写真をご覧いただければわかるように、建物がどれも同じような外観をしているユニークな町なのです。

今回はズリーンを訪れたらぜひ立ち寄りたい、ズリーンの見どころを紹介します。



ズリーン履物博物館

チェコ南東部 ズリーン履物博物館

ズリーンを語る上で欠かせないのは、靴会社を立ち上げ、この町を大きく発展させたトーマシュ・バチャ(Tomáš Baťa)(1884~1945)のこと。

バチャ社は1945年に国営化され、1949年にSVITと名前が変わったため、現在チェコ国内にバチャという会社はありませんが、ズリーンにある履物博物館では、バチャが作った靴を含め1000点以上の靴や、当時の機械や道具などを見ることができます。

チェコ南東部 ズリーン履物博物館

ズリーン市内の建物は、それぞれビル名ではなく、番号が割り振られているのが特徴です。ズリーン履物博物館は「14 | 15」の建物に入っています。チェコ国内や近隣諸国からも見学者が訪れるようで、建物の前には大型バスも停まっていました。

チェコ南東部 ズリーン履物博物館

フロアには3つの展示があり、中でも一番大きいのがバチャ社に関連するものです。

チェコ ズリーンの履物博物館

大きなガラスケースの中に納められた靴は世界中から集められたさまざまなコレクションで、古いものだと450年前の靴もあるとか。先のとがった不思議なかたちの靴、ものすごく大きな靴、極小の靴、ブーツから草履まで実に多種多様です。

ズリーン履物博物館に展示されている靴

履物好きな方なら、見ているだけで楽しくなってしまうかもしれません。

ズリーン履物博物館に展示されているバチャの作った靴

こちらのガラスチューブの中に展示されている靴は、トーマシュ・バチャ自身が作ったものを含む、バチャ社の製品です。

ズリーン履物博物館 バチャ社の靴

クラシカルなかわいらしさのある女性用のパンプス。

ズリーン履物博物館

木型に合わせて素材を組み合わせる靴の作り方の展示もありました。

チェコ ズリーンの履物博物館

こちらは当時バチャ社に雇用されていた労働者たち(バタマンと呼ばれたそうです)が勤怠を記録するのに使ったタイムカード押し機です。見学者も記念にタイムカードを押すことができますよ。

ズリーン履物博物館

履物博物館にあるのは履物(靴)だけではありません。当時バチャ社は、自社製品を宣伝するために短い映画(ショートフィルム)の制作も行っていました。

現在でいうテレビコマーシャルのようなものですが、ショートフィルム自体も自社で製作し、靴の宣伝もしてしまうところがすごいですよね。作中で女性がバチャの靴を履くシーンが放映されると、バチャの婦人靴がよく売れたそうです。

ズリーン履物博物館

アニメーションの制作も行われたそうで、かわいい作品が展示されていました。

ズリーン履物博物館

宣伝用のポップも女性や女の子がバチャの靴を手にしたもの。当時のマーケティングが垣間見られますね。

バチャの靴ショップ

なお、前述の通り、現在チェコにバチャという会社はないのですが、バチャブランドの靴を作っている関連企業が世界各国にあり、それらの国から輸入されたバチャの靴は今日もチェコ国内で買うことができます(上はプラハで見かけたショップ)。

ちなみに日本でもBataの靴は購入することができます。もしかしたら「Bataの靴、持ってるよ!」という方がいるかもしれませんね。

チェコ ズリーン履物博物館

ズリーン履物博物館

住所:Vavrečkova 7040 760 01 Zlín チェコ
電話:+420 573 032 326
休館日:月曜日
開館時間:10:00~18:00
入場料:博物館の常設展+短期展で大人1人129コルナ(約645円)、博物館+ギャラリー共通券は大人1人199コルナ(約995円)、子供半額・家族料金あり
公式サイト(チェコ語)

バチャの摩天楼「21」(ズリーン21)

チェコ バチャの摩天楼「21」(ズリーン21)

履物博物館の見学を終えたら、近くにあるバチャの摩天楼「21」へも足を運んでみましょう。

前述の通り、ズリーンの建物は名前ではなく番号で呼ばれるわけですが、この「21」には16階まで上がれる歴史的なエレベーターが備わっており、高層階からズリーンの町を見下ろせます。

バチャの摩天楼「21」(ズリーン21)

革新的な人物であったバチャは、機能主義建築と近代的な技術を新しい経営手法と組み合わせて、当時としてはヨーロッパで2番目に高いビルとなる、高層ビル「21」を建設しました。

そして、「時は金なり」というアメリカ主義に習って、自身の社長室があるオフィスにエレベーターを設置し、経営効率の最良化を図ったそうです。

バチャの摩天楼「21」(ズリーン21)

「21」の1階ロビー。ご覧のように各階にはさまざまなオフィスが入っており、普通のエレベーターで好きな階に上がることができるのですが、”歴史的なエレベーター”に乗りたければ、ガイド付きツアー(有料)に申し込む必要があります。

バチャの摩天楼「21」(ズリーン21)

この日、案内をしてくれたのがこちらの女性。ガイドは予約時の希望に応じてチェコ語、英語、ドイツ語などで行われます。1人あたりの料金はツアーの参加人数によって変動するそう。

私は予定されていたチェコ語ツアーに急きょ参加させてもらえることになりました。もちろん、チェコ語はまったく理解できないのですが^^;

バチャの摩天楼「21」(ズリーン21)

こちらがその”歴史的な”エレベーターです。なんと、書斎がそのままエレベータになっています、スゴイ!

バチャの摩天楼「21」(ズリーン21)

一行はガイドさんの話を聞きながら、窓の外の下方に遠ざかっていく景観を楽しみます。私はチェコ語がわからないので、ひたすら窓の外を見ていました。

バチャの摩天楼「21」(ズリーン21)

最上階である16階に到着。

バチャの摩天楼「21」(ズリーン21)

エレベーターとフロアの間に数センチの隙間があったのですが、そこから下をのぞくと1階までを縦にみおろすことができます。ピントが合わなくてうまく撮影はできませんでしたが……。

バチャの摩天楼「21」(ズリーン21)

隙間をスマホで撮っている男性の姿も。隙間にスマホを落としたら、一巻の終わりですね(苦笑)。

バチャの摩天楼「21」(ズリーン21)から見下ろす景色

バチャの摩天楼「21」から見下ろすズリーンの町の景色。煙を出している煙突の横にズリーン駅が、右側手前には先ほどまでいた履物博物館の「14」の建物が見えます。

バチャの摩天楼「21」(ズリーン21)から見下ろす景色

こうして高層階から見ると、本当にズリーンという街が綿密な計画に従って作られ、建物がどれも同じような外観をしている町だということがよくわかりました。

バチャの摩天楼「21」(ズリーン21)から見下ろす景色

大きなビルだけでなく、山の麓に広がる労働者の居住区の小さな家々も、一様に同じ外観をしています。(こちらが労働者の居住区であることは、ツアーに参加していたチェコの方が私に英語で説明してくれました。)

バチャの摩天楼「21」(ズリーン21)から見下ろす景色

高所恐怖症でなければ、景色を眺めながら通路を歩くのもきっと楽しいはず。なお、この16階のテラスにはカフェもあり、ティータイムを楽しむことができます。

バチャの摩天楼「21」(ズリーン21)から見下ろす景色

ガイドさんの説明を聞きながら「へ~っ!」という感じで声をあげるチェコの方々。私もチェコ語がわかったら、もっと楽しめたに違いありません。

バチャの摩天楼「21」(ズリーン21)から見下ろす景色

でも、たとえ言葉がわからなくても、この景色を見るためだけに「21」の16階に上がる価値はあると思います。ツアー参加が難しくても、開館時間中は通常エレベーターで自由に16階に上がれるので、ズリーンを訪れたらぜひ足を運んでみてください。

ズリーン21

(上写真が通常のエレベーター。もちろん無料で利用できます。)

バチャの摩天楼「21」

住所:třída Tomáše Bati 21, 761 86 Zlín チェコ
公式サイト(英語)

フィルムスタジオ Filmové ateliéry

ズリーンのフィルムスタジオ Filmové ateliéry

ズリーンの市街中心部(履物博物館の近くにあるnáměstí Práceというバス停)から31番のバスに乗って十数分ほどの郊外にフィルムスタジオ(チェコ語:Filmové ateliéry/英語Film studios)があります。

先ほど、ズリーン履物博物館のところで「バチャ社は自社の靴を売るための宣伝としてショートフィルムを制作した」と書きましたが、そこから発展したのがこちらのフィルムスタジオです。

チェコ・ズリーンのフィルムスタジオ(Filmové ateliéry)

スタジオ内では、バチャ社とフィルム制作の歴史を知ることができたり、さまざまな展示を見ることができたりします。

チェコ・ズリーンのフィルムスタジオ(Filmové ateliéry)

スタジオでは現在もクリエイターやアニメーターが作品を制作しています。常設展示のほか、期間限定の展示もあり、映像や写真が好きな方は楽しめることでしょう。

チェコ・ズリーンのフィルムスタジオ(Filmové ateliéry)

こちらの豚さんはスタジオのイメージキャラクターのロイズィーク・ピグレット。

チェコ・ズリーンのフィルムスタジオ(Filmové ateliéry)

子ども用の展示や体験型おもちゃが多く、スタジオのあちこちに座り心地の良さそうな大きなビーズクッションが置かれているので、小さい子ども連れの家族で訪れたらきっと楽しいと思います。

チェコ・ズリーンのフィルムスタジオ(Filmové ateliéry)

土日には実際にショートアニメを作るワークショップ(ストップモーションのような映像制作ソフトを使って動画にする内容)も行われているそうです。

フィルムスタジオ(Filmové ateliéry)

このフィルムスタジオはいわゆる観光スポットではありませんが、ズリーンを語るには欠かせないバチャの遍歴に触れることができます。映像好きな方にもおすすめ。

フィルムスタジオ(Filmové ateliéry)

住所:Filmový uzel Zlín areál filmových ateliérů Filmová 689 760 01 Zlín チェコ
電話:+420 720 97 97 60
開館時間(展示):月8:00-14:00、火~日8:00-17:00
ワークショップ:土日10:00-17:00
入館料:大人129コルナ(約666円)
公式サイト(チェコ語)

ズリーンのおすすめホテル&レストラン

今回はズリーン市内中心部近くにあるコングレスホテル「インターホテル モスクワ」に泊まり、夜はホテルから徒歩数分のところにあるピルスナー・ウルケル・オリジナルレストランでおいしいビールとチェコ料理を堪能しました。

ホテルとレストランについては別サイトで詳細記事を書きましたのでご覧ください。

ズリーンのホテルモスクワ

【詳細記事】チェコ南東部ズリーン(Zlin)最大のコングレスホテル「インターホテル モスクワ」

チェコ・ズリーンのピルスナー・ウルケル・オリジナルレストラン

【詳細記事】チェコに行ったらピルスナー・ウルケル・オリジナルレストランでチェコ料理とともにおいしい生ビールを飲もう!

ズリーン近郊のおすすめ観光スポット&世界遺産

チェコ南東部にあるズリーンとあわせて行きたい近隣の観光地を紹介します。

チェコのユネスコ世界遺産 クロムニェジーシュの庭園群

ユネスコ世界遺産の「クロムニェジーシュの庭園群と大司教の城クロムニェジーシュ城」のあるクロムニェジーシュ(Kroměříž)は、ズリーンから車で30分ほど。

チェコ オロモウツ 聖三位一体柱

同じくユネスコ世界遺産に登録されている聖三位一体柱、バロック様式の噴水、天文時計などがある歴史地区で有名なチェコで5番目に大きな都市オロモウツも、ズリーンから車で1時間ほどアクセスできます。

ズリーン、クロムニェジーシュ、オロモウツをあわせて観光するのも良さそうです。



[Special Thanks!]
この旅はチェコ政府観光局に旅費宿泊費を負担していただいています。



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1976年生まれの愛知県在住フリーランス、ブロガー、旅ライター。夫 娘2人 猫3匹と暮らしています。旅、英語、コーヒーが好き。

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